原発オールアウト!原発オールハイロ!!!

日本の原子力発電所は13カ月に一度、定期検査のために原子炉を停止させる必要がある。ところが福島第一原子力発電所の事故以来、定期点検が済んでも周辺住民の反対にあって再稼働ができない事態が各地で発生。

 

数百もの改善を行い、1年以内に住民を説得するのは至難の業

 この点、日本に来て10日間調査していった国際原子力機関(IAEA)の調査団による報告書は説得力不足である。駆け足で各方面を実地調査し、人々へのインタビューを通じて「感想」を述べた程度にとどまっている。

 

 

 

世界統一の安全基準で原発を点検する

 フランス・ドーヴィルで開かれた先の主要8カ国(G8)の首脳会議では、原子炉の安全基準とストレステストを世界共通のものにしようという合意が得られた。福島第一原発事故の教訓がこういう形で生かされるのなら、それは大変いいことだと思う。

 世界統一の安全基準(日本のように地震の多い国では多少のアレンジが必要になるだろう)で世界すべての原発をテストし、「稼働していいもの・いけないもの」を峻別する、という発想である。

 

実はこのような細かいことがおそらく数百はあると思われ、それぞれに対して納得いく説明と処置が行われなければならない。その作業は膨大なものになると思われるが、数カ月以上かけるわけにはいかない。なぜなら、(1)その情報が開示され、(2)すべての原子炉でそれらを追加的なストレステストの項目とし、(3)さらに時間的猶予を与えて対策を施させる。そのうえで、(4)原子力安全・保安院が現場検証をし、満足できる結果であれば、(5)それを住民に説明し、 (6) 再度、保安院が再稼動を承認する――というステップを踏まないといけないからだ。

 「原発オールアウト」という最悪事態を避けるためには、上記(1)と(2)を数カ月で行い、(3)を3カ月で終えたとしても、(6)までを1年以内に終了するのは至難の技だろう。